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「お店の買い心地デザイン講座」を実施しました@代官山 蔦屋書店さま

  • AKIKO
  • 5 日前
  • 読了時間: 12分



 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する文化複合施設「DAIKANYAMA T-SITE」の中核を担い、文化振興の中心的存在である代官山 蔦屋書店。そんな代官山 蔦屋書店で働く皆さまに向けて、「お店の買い心地デザイン講座」を行いました。

 

 今回は、受講されたみなさまからのご感想やご意見を交えながら、開講レポートをお伝えいたします。


 

「お店の買い心地デザイン講座」の概略


もくじ

基礎知識 編

  • 買い⼼地とは

  • VMDとは

  • ⼈の習性と購買

  • カスタマージャーニーとAIDMA

売場構築 編

  • 陳列の基本

  • 商品陳列テクニック

  • 陳列とプレゼンテーション

  • 商品分類と陳列

  • 商品プレゼンテーション

  • ⾊とプレゼンテーション

  • 売場の構造と構築プロセス

  • 売場回遊のしかけ リレーションと導線

  • 館の回遊促進と買い⼼地

編集企画 編

  • 商品編集企画と店頭コミュニケーション

  • 商品編集企画を考える

  • 提供価値と買い⼼地

  • ペルソナと買い⼼地企画

  • 情緒と買い⼼地企画

  • 分類の切り⼝ ユニークアングル

  • ニーズ考察と買い⼼地

  • 買い⼼地コンシェルジュな⽬線

番外編

  • ⼤⼈のIGA channel

 

 I APARTMENTの講座は、売り場作りの基礎知識から企画編集、販促領域など、広義的かつ多角的にお伝えすることが特徴です。12回にわたり行った代官山 蔦屋書店さまへの「買い⼼地デザイン講座」では、売場の 「魅せ⽅・分け⽅・並べ⽅・伝え⽅・編集・企画」等のお客さまの購買意欲を醸成するための技術を実例を交えながら講座を行いました。


 

〈 アンケート&インタビューにご協力いただいたみなさま

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社

代官山 蔦屋書店 店長:湯澤さん

運営企画:禿(かむろ)さん

販促企画:川口さん

フロア担当:菅野さん

フロア担当:及川さん


 

’お店での共通認識や共通言語がないことが課題’

――受講前にはどのような課題がありましたか?


 運営企画 かむろさん:売場づくりのレギュレーションなどはあるが、浸透しておらず、個人のスキルやノウハウに頼っている点や、各スタッフのVMD理解度がバラバラである点などで、売場レベルに課題がありました。

 

 店長 湯澤さん:VMDの重要性を認識しつつも、整理整頓が行き届いていない事もあります。また、MD計画の時点からVMDを考える意識をもっと根付かせる必要があると感じています。たくさんの素晴らしい事例もあるので、店内情報共有を強化し、統一感を出すことが大事だと感じています。


 販促企画 川口さん:販促企画の視点では、「顧客視点の欠如」と「VMDへの理解が浅い」という点が課題でした。

 

 フロア担当 菅野さん:VMDに関して統一されたもので管理されていなく、スタッフ個人個人の目線で管理されていたため、お店の全体感がバラバラでした。

 

 フロア担当 及川さん:売場の陳列や見せ方の点で、スタッフの経験やセンスに任されていたことが課題でした。特に、座学での研修や知識を得るタイミングはなかったので、経歴の長いスタッフの売り場展開を見て、什器の使い方や商品の並べ方を「なんとなく」で習得していました。


 

’お客さま視点・心理’にフィットした売り場づくりの重要性

――講座で印象に残ったテーマを教えてください。


 運営企画 かむろさん売り場の構造と構築のプロセス」

そもそも、何故このような構造をしているのか、基本を理解しながら、実例もわかりやすく説明して下さるので理解力が高まりつつ、質問形式でのやり取りも他の方の考え方や自身の考え方を対比しながら、答えを知っていくプロセスが面白かったです。



次に「ペルソナと買い心地企画」

弊社でもターゲットやペルソナなど、新店を作る際や商品を開発する際など、考えたりするのですが、より具体的であり、そのペルソナに対しての一方通行ではなく、「心情」を反映して考えることの大切さに気づいたことが目から鱗でした。一番は昔やっていたことが新たにアップデートされたことが気持ち良かったのだと思います。



「ニーズ考察と買い心地」も、実例を質問形式でやり取りしていくことがクイズのようで非常に楽しく学べました。自分の知識をフル回転しながら、他の方々の考え方も聞けて、答えも明確なのは有意義な時間でした。



 店長 湯澤さん:「⼈の習性と購買」

「顧客は本質的に何を買っているのか?」の問いに対しての答えが印象的でした。



 販促企画 川口さん:「ペルソナと買い心地企画」

具体的なペルソナで顧客の解像度を上げることの必要性を実感しました。「自店の顧客に対する理解度は深まっているはず」という点を再度見つめなおし、より情緒的な企画力を磨くことに注力しようと思わせてくれる授業内容でした。



 フロア担当 菅野さん:「商品分類と陳列_ Before After 事例を⾒てみよう」

ジャンルごとにグルーピングしていく方法はわかりやすい売り場を作るとても簡単な方法だと思い、活用しています。この方法は、そこまで経験も必要なく誰でも投入しやすい方法なのがいいと思いました。



 フロア担当 及川さん:全テーマに一貫して、「顧客視点に立つこと」が印象に残りました。我々のビジネス的なゴールはお客様の購買行動にあります。そのゴールに向けて、商品分類・ゾーニング・陳列テクニック・売り場全体の居心地の良さ、それぞれに注力する必要があると学びました。「顧客視点を大切にする」という文言自体は、弊社でも非常に力強く謳われていますが、実際に、お客様を理解することで、どのような点を変えられるのか、どのように活かせるのかを実感して気付くことができました。


 

座学と実演で理解度がアップ

 エコバッグやポーチを展開していた稼働率の高い棚の実演クリニックを実施。

売場の課題として「お客さまがパッケージを開けてどんな形状なのかを確認するため、常に陳列が乱れる。」「商品のグルーピングが曖昧で、選びにくい。」「アイキャッチになる上段を持て余している。」などがありました。

 

そこで、

❶グルーピングを明確にし、見やすく選びやすい状況を作る。

❷アイテム毎サンプルとして出すことで、お客さまが商品をパッケージから開けることなく選べるよう配慮する。

❸棚に余白をつくり書籍を配置することで、商品価値や情緒を伝える。

❹上段はPOPと面が埋まる大きめの商品を配置し魅せる陳列に。

 

上記を意識しながら皆さまと一緒に陳列の再構築作業を行いました。


――講座内で実演もありましたが、その印象と効果を教えてください。


 運営企画 かむろさんずっと課題であった売場で、是正のポイントも理解していましたが、具体的なアクションまで至らずモヤモヤしていました。しかし、ちょっとした工夫でサンプルも見られ、商品も選びやすい売場にできることがわかりました。この実演があったことで座学講義の理解度も進んだと思います。

 

 店長 湯澤さん:ライフスタイル提案としてプロダクトを紹介することで、そのプロダクトと出会った時の印象が全く違うと感じた。


 販促企画 川口さん:実演後の売場を見て、雑貨バッグ売場にも書籍がある方がいいと気付き、「書店員としての視座を高めなければならない」と課題感を持ちました。

 

 フロア担当 菅野さん:素晴らしすぎました。特にスタッフと一緒になってやっていただいたのが良かったです。

 

 フロア担当 及川さん:「弊店の持ちうる平台・什器でこんなにも変わるのか」と衝撃を受けました。対象の棚は、お客様が多く行き来しエスカレーターを上がる時も目につきやすい場所であるため、売上の面でも効果が大きかったのではないかと推測します。


 

受講後 現場のコミュニケーションが活性化

――受講後、売り場づくりに対する意識や行動に変化ありましたか?


 運営企画 かむろさん受講後のその足で売場を変更したり、売場について話合ったりと、即効性がある講義だと思います。また今の売場に対しての疑問や改善すべき点などの話が出るようになりました。

 

 店長 湯澤さん:個人差はあると思うが、私自身が重要性を非常に強く感じた。

 

 販促企画 川口さん:「顧客に向き合うという当たり前のこと」ができていなかった部分に着目するようになりました。

 

 フロア担当 菅野さん:売り場を作りながら「VMD研修で学んだ内容だよね?」など、受講した人同士はVMDに関するコミュニケーションがスムーズでした。

 

 フロア担当 及川さん:特に、同じフロア担当とは、自分たちが担当する売場の陳列について話す機会が格段に増えました。

受講後に、学んだ陳列テクニックをこんな風に活かせるのではないかと話すこともあり、もっとお客様が見やすく、楽しい売り場にしたいという思いが強くなったと感じます。

また、売場管理においてのルール変更をしました。それにより、事前にその時期にどのような展開が並ぶのかを総合的にイメージしやすくなり、売り場全体をみる視点が俯瞰的になったと感じます。


 

Obake Roomのプロジェクト機能は振り返りに最適

――Obake Roomのプロジェクト機能を活用した研修のテキスト資料やアーカイブ動画の共有方法はいかがでしたか?


 運営企画 かむろさん講義内容をいつでも振り返られて、講義に出ていない社員やスタッフも確認できるのは効果的だと思いました。また、理解不足なスタッフなどに寄り添って引き上げることなどの次なる課題に際しても資料や動画を振り返りに有用と感じています。

 

 店長 湯澤さん:すべてここに集約されているので、非常に使いやすいです。

 


 販促企画 川口さん:適切でした。プロジェクトのURLをブックマークし、すぐに見られる環境にしています。

 

 フロア担当 菅野さん:ほぼ参加させていただいたのですが、振り返りをするのに非常に便利でした。

 

 フロア担当 及川さん:後日、資料を拝見することもできたので良かったです。事前に資料をアップロードいただき、受講中に手元で見られるとより講義の理解度が上がると思います。


 

当たり前の文化として浸透させたい

――講座で学んだことを今後どのように活かしていきたいですか?


 運営企画 かむろさん店舗全体に浸透させるために、実際の考え方・手足の動かし方なども含めた教育体制を整え、当たり前の文化として浸透させたいです。

 

 店長 湯澤さん:問題を解決する方程式として、まずは小さなことから解決・事例を作り、全スタッフへ具体例を発信していきます。バイアスを外していこう!

 

 販促企画 川口さん:AIDMAの法則など、考案中の自主企画に活かしたいです。  

 

 フロア担当 菅野さん:まずは自分の売り場からクオリティを高く維持して売り上げに繋げ、その後フロア全体でクオリティを統一して維持していきたいです。

 

 フロア担当 及川さん:売り場直属のスタッフであるからこそ、まずは自分担当売場の展開に活かしたいです。例えば、今までアーティストさまやクライアントさま任せになっていた商品の陳列について、積極的にディスカッションして、その売場の管理者としての行動を深めたいと思います。


 

VMDだけでなく、MD・販促・広報など、商品に関わる人たちへ

――当講座は、どのような企業や担当者が受講するとよいと思いますか?またその理由も教えてください


 運営企画 かむろさん「小売業に携わる方(MD / BY / SV / FT)」は、基本の「き」として学ぶべき。特にターゲットやペルソナの理解や、商品特性や商品の配置などをインプットした後に、色々と吸収すると視野が広がり、今後の仕事に活きると思います。

 

また、「レイアウトや売場などを作る方(デザイナー / 設計 / 新店担当)」は、人の動線やレイアウトなどの定番の考え方などは理解していると思いますが、何のためにそれを行っているのか、最終的にはエンドユーザーにどういった影響を与えるための狙いがあるかなど、理解している方がより顧客に寄り添った仕事ができると思います。

 

経営陣や幹部陣のV M Dへの理解が会社や組織として必要だと感じています。欧米などでは、副社長や経営陣がVMDを管轄していることも多いと聞きます。それぐらい重要な要素だと思っています。

 

 店長 湯澤さん:デベロッパーにおすすめです。Obake Roomのプロジェクト機能は大規模商業施設に有効だと感じるからです。

 


 販促企画 川口さん:人員の少ない店舗で効率的に最適なVMDを必要とする中規模や小規模店舗のスタッフが受講できると、買上率が上がり、その売上で新たな企画を通して来館者数も増えると思います。

 

 フロア担当 菅野さん:スタッフは受講必須にするべきだと思います。特に講座を受けたスタッフがトレーナーになるとさらにいいと思います。

 

 フロア担当 及川さん:我々のような小売業はじめ、メーカーの販促・広報・クリエイティブ担当です。なぜなら、自社製品をお客様に紹介し販売するという点で、我々の売り場づくりに通じる部分があると思うからです。


 

売場をもっと良くしたい意欲のきっかけに

――総じてご感想を教えてください。


 運営企画 かむろさんあっという間の12回でした。面白かったです。実際に、課題がある売場を仮説を立てて手足を動かして改善してみたり、フェアなども企画から一緒に取り組んで頂いたりと、具体性や再現性が高まる取組みはありがたかったです。まずは、今回受講した内容を店舗にどう浸透させるかが課題ですので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 販促企画 川口さん:あらためて「本をめくるように様々な商品に出会える」という自社の強みを意識すべきと感じました。講座には、視座が高まるなどの心理的効果があったと断言できます。

 

 フロア担当 菅野さん:スタッフ全員が受講できるように上手く仕組みを作っていきたいです。もしスタッフ内でトレーナーを用意するのであれば立候補します!!


  フロア担当 及川さん:学ぶことが楽しいと心から感じる時間で、気付けば全講座出席しておりました。私自身、売り場勤務は1年目で、特に知識やスキルがあるわけでもなく、なんとなく売り場づくりは他スタッフを見て知っていく、真似していく、という日々でした。ただし、商品展開やプロモーションに興味があったので、理論から実践までを一貫して学べる機会は大変ありがたく光栄でした。実際に、自分が担当する売場の展開で、先方に自分からVMD面を相談して、設営の際に働きかけるようになりました。また、売上の状況を見ながら、他の陳列テクニックに切り替えるようにするなど、アクションを起こし始めています。


 


まとめ


「買い⼼地デザイン講座」の受講後の現場には、「顧客に向き合うこと」の大切さとVMDの重要性を再認識した売場を改善するさまざまなアクションが生まれています。

 I APARTMENTの「買い⼼地デザイン講座」では、「お客様心理とそれに伴う行動」を軸に、売り場づくりの「魅せ⽅・分け⽅・並べ⽅・伝え⽅・編集・企画」などのテクニックをお伝えするとともに、「売場をもっと良くしたい意欲」のきっかけとなっています。


 


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